ソホロリピッドでもっとサスティナブルな社会に
Allied Carbon Solutions株式会社は、産業技術総合研究所との共同研究をベースにして、2013年に天然系界面活性剤(ソホロリピッド)の量産に成功した、ベンチャー企業です。植物油を原料にして酵母がつくる天然系の界面活性剤は、サスティナブルで環境にも優しいこと(易生分解性)から、石油由来の合成系製品を使っている用途から置き換える商品化の検討が幅広く行われています。
当社のソホロリピッド量産化技術は、世界最大の化学系企業であるドイツのBASF社にも認められ、2021年にパーソナルケア用途について出資を受けました。ソホロリピッドは、洗浄力だけでなく、ある種の微生物に対しては抗菌性を示します。このソホロリピッドがもつ乳化力や抗菌性といった機能を最大限に利用し、パーソナルケア用途のみならず農業(バイオスティミュラント)・畜産飼料など様々な産業用途への展開を狙っています。
(山縣)私は元々米系証券会社に所属し、国債ブローカーとして働いておりました。2001年9月11日の事件に直面し、多くのミリオネアの命がこの悪夢によって一瞬にして失われ、またミリオネアを目指した若者達の命が志半ばで終わった、このような悪夢を経験し、私自身人生の考え方が全く違うものとなりました。
アメリカ在住時、ホストファミリーが農家だった事から農業に関心を持ち、また農薬が広大な土地に散布される際の危険性を感じておりました。これらを回避する事を目標【安全】と考え、また人は安全を求めていると確信し、起業を決意。2006年にAllied Carbon Solutionsを設立致しました。
(廣田)私はもともと酵母を利用した発酵製品の事業会社に在籍しており、バイオエタノールや食品の生産・研究開発に携わっていました。2018年に当社の試作に協力したことが縁で、日本のみならず世界に広く展開する事業ビジョンに賛同して入社しました。
先ず、インドで広く生産されていると言われている非食用植物から何か出来ないかと考えました。大手薬品会社の役員からの勧めもあり、非食用油はバイオディーゼル燃料として注目されていると言う情報を得、非食用植物油生産地の調査を行い、採取現場にも足を運びました。生産地とされる場所のほとんどは、川沿いに植樹しただけの、農場とは決して言えない非常に残念なものでした。また地元政府の搾取が当たり前の様に行われており、採取している貧困層の利益には全く繋がらない現実を知り、この事業を行う事に大きな疑問を感じました。しかし人が食すことが出来ない油の活用方法には興味があり、国立研究法人産業技術総合研究所(AIST)と共同研究を開始し、古来日本が得意とする発酵法を用いた界面活性剤の研究へと繋がりました。
長年研究を繰り返し、断念すべきとも考えた時期もありましたが、世界最大手化学品会社であるドイツのBASFから資本業務提携の依頼が入り、私共がやってきた研究開発は間違いないと確信致しました。
当社の目標は、畜産・農業への活用です。安価で売買される商品より付加価値の高いオーガニック商品として農家の皆さまにお喜びいただける様な商品開発に取り組んで参る所存です。EUを皮切りにオーガニックが注目されている昨今、日本国内でも幅広く営業を行い、商品価値を上げ、他国には無い【安全】商品をご提供出来る様努めて参ります。
界面活性剤の原料を出来るだけバイオサーファクタントに置き換えようという社会的な動きは、コロナ禍を挟んでも衰えることなく欧米の方から急速進んでいます。日本は他国より発酵製品が身近にある国のため、海外の動向をキャッチアップしながら日本での導入に備えています。発酵技術が蓄積された国内で研究、海外適地でも生産できる技術の改良という両面で業務を進めています。
そして原料や使用エネルギーを含め、よりサスティナブルな製品に進化させて、従来の合成系の界面活性剤から置き換えられる用途に広く販売したいと考えています。
UMI担当者コメント
当社のハンズオン支援を担当しております。当社は日本国内だけでなく世界的に見ても、ソホロリピッドの持つ機能面や製造能力などにおいて優位性が非常に高く、天然界面活性剤業界をリードしています。弊社として社内運営や国内外でのビジネス展開などあらゆる面でのサポートを行うことで、日本発の天然界面活性剤である当社製品が世界のパーソナルケア商品・畜産飼料商品のグローバルスタンダードになる日を願っております。
中舘尚人
アソシエイト