UMI インタビュー

医療分野での経験・知見を活かし、
研究技術を社会へ還元

プリンシパル 博士(工学)

高 振宇

誰もが健康で夢を叶えられるよう医療分野の道へ

叔母が看護師だったこともあり、医療に関心を持ちました。世の中には病気によって夢が絶たれてしまう人がいます。誰もが健康で夢を叶えられるようにしたいと思い、研究開発された技術によって世界中の人の健康や暮らしを良くすることが出来る医療分野の道を選んでいます。その志は変わらず、今に至ります。

中国の大学ではポリマーサイエンスを専攻し、骨の修復材料の研究をしていました。大学卒業後、目指す医療分野での技術レベルが日本は高かったこと、出身地の大連には日本企業が多く進出しており、華道や茶道、相撲などの日本の伝統文化に幼い頃から高い関心を持っていたこと、そして戦後の復興から短期間で経済発展を遂げた国を体感してみたいと思い、日本の大学院への留学を決めました。大学院ではバイオマテリアル分野で新規高分子の合成、がん治療および診断用ナノ粒子の開発を行い、修士号・博士号を取得しています。

研究を続ける中で、いくら研究成果を出しても研究室から社会で使えるようにするのは非常に難しいことに気付き、卒業後は、研究成果を社会実装していく工程に携わりたいと製薬業界に進みました。臨床大手企業では治験に関わる一連の業務を担当し、治験のアレンジから実施、モニタリング、メーカーへのフィードバックなどを行いました。以降、医療分野に特化したコンサルティング企業では、製薬メーカー、医療機器メーカーだけでなく国の案件も担当しました。クライアントと直接やりとりし、調査、分析を行い、自身でプロトコール(実施計画書)を作るなど業務の幅が広く、様々な経験が出来、ビジネススキルに加えて日本語スキルもアップしました。売上など数字面だけではなく、クライアントが抱える課題の本質を理解することで、ベストなソリューションが提案できることも学びました。

培ってきた日本語、英語、中国語の語学力と医療業界の専門知識が活かせ、経営に近い立場の仕事にチャレンジしたいとベンチャーキャピタルを志望し、UMIと出会いました。投資経験はありませんでしたが、語学力、これまでの研究分野や業務経験などを活かせるUMIに入社を決めました。

海外との各種連携や医療系ベンチャーの支援

入社後はキャピタリストとして、ライフサイエンス・医療分野をメインに、投資検討や投資先のハンズオン支援、協業等を検討してくださる企業とのアライアンスなどを担当しています。また、語学の強みを活かし、台湾のパートナー企業とのセミナー開催や、海外のアカデミアシーズの発掘なども行っています。海外の産業技術研究機関と連携して、現地のベンチャー企業をファンドの出資者(LP:Limited Partner)へ紹介するなど、様々な技術を海外から日本へ、また日本と海外を繋ぐ役割を担っています。

医療分野は、上市に政府の承認が必要となるため、各種手順、スケジュールの立て方、必要人材や外部協力先など、業界知見が非常に重要です。担当している医療系ベンチャーに対して、これまでの実務経験を踏まえて共に事業を推進していくことにやりがいを感じます。「キャピタリストの仕事は総合格闘技」とよく例えられます。UMI入社前の様々な経験からの知見、ビジネススキル、ロジカルシンキングなど、すべてがキャピタリストの仕事で活かせていると実感します。

投資業務はゼロからのスタートでしたし、医療分野であってもさらに勉強が必要です。社内の教育プログラムや社内メンバー、協力先のスペシャリストの方から学び、実践しています。UMIには様々なバックグラウンドを持つ人がいるため、相談したり、アドバイスをもらったりできるので、経験や知見がない部分のサポートになっています。

ベンチャーの技術によって社会が変わる、を目指し

2017年より始めた華道

投資検討時にUMIが大切にしていることは、「この技術が社会を変えられるか?」という視点です。投資決定後、ハンズオン担当者は投資先のベンチャー企業と共に、ひたむきに事業を前進させ、事業価値が上がるよう、事業計画の策定から見直し、財務管理、マネジメント、対外折衝など、様々なことを行ないます。研究開発の成果が社会実装できれば、その技術により誰かが幸せになり、社会が良い方向に変わる。「この技術で社会が変わる」そのために私たちは、投資先と一体となって取り組んでいるのです。UMI代表の木場は「give, give, give, and take」と表現していますが、投資して終わりではなく、投資先ベンチャーの経営者の立場で、社員の生活も考え、目先の課題のみならず中長期の課題や先のニーズを見極めて、一緒に事業を推進していくのがUMIのハンズオン支援です。

私が考えるキャピタリストに必要なマインドは、「責任感」「好奇心」「粘り強さ」です。さまざまな技術や人に関心を持ち、苦しい局面もやり抜く粘り強さと責任感が重要だと思います。ベンチャーは様々な壁にぶつかり、それを1つずつ乗り越えて次のステップに移っていくため、苦しい局面を避けられません。成果を出すために、共に乗り越えていく覚悟と、そのための労力を惜しまないことが求められます。私はキャピタリストとして途上中ではありますが、この3点を常に意識して業務を行っています。

ベンチャー企業の技術が実装され、社会を変える技術の恩恵を人々が受け、健康で、それぞれの夢を叶えられるよう、選んで来た道で精進していきたいと思います。