UMI インタビュー

コンサルや経営企画のキャリアを活かし
ベンチャーの企業価値向上に取り組む

ディレクター 博士(化学工学 )

原田 高政

化学工学の研究者から企業の成長支援へ

大学時代、工学部で材料工学を学ぶ中で、バイオ医療に興味を持ちました。中でも関心が高かったのが、抗がん剤治療における副作用の問題です。学部では、薬効を最大限に高めながら副作用を抑える「ドラッグデリバリーシステム」の研究に取り組み、高分子合成や微粒子の作成を行いました。大学院では研究領域を広げ、がん細胞核の物性評価にも着手。より医療に近い分野での研究も進めました。

化学工学の博士号を取得後は、自身の適性を考え、外資系コンサルティングファームに就職し、保険会社や自動車メーカー、ソフトウェア企業など、幅広い業種の事業戦略の策定やビッグデータ活用、業務改善などを行いました。多岐に渡る業務で大変勉強になり、面白さもありましたが、もっと個々の事業に深く関わりたいと考え、外資系保険会社の経営企画部門に転職しました。全社の戦略策定から部門横断プロジェクト、コロナ禍の働き方改革まで、経営に関わる様々な経験を積みました。

経験を重ねていく中で、経営改善や成長支援をより必要としているところに携わりたいと思うようになり、ベンチャーキャピタルが候補に上がりました。ファンドは未経験でしたが、UMIでは化学工学の知識とこれまでのキャリアが活かせると思い、入社を決めました。

ベンチャーの企業価値向上のため、国内外のコーディネートを担う

UMIでは主に、投資先ベンチャー企業のバリューエンハンスメント(企業価値向上)、中東と日本間のコーディネート、ファンド出資企業各社(LP:Limited Partner)との個別プロジェクト、そして社内向けに業務改革プロジェクトを担当しています。

UMIでは投資先の企業価値向上に向け、ハンズオン支援を行っています。私が担当している投資先は、事業基盤が確立し、国内外で事業が進み、さらなる成長に向けて拡大しているフェーズです。従業員数がそれなりに増え、組織化できていても、リソースが足りていない部分を私たちがサポートしています。営業資料作成や補助金申請などの事務的なものから、UMIが持つ国内外のネットワークを活かして顧客候補や協業先の紹介、顧客開拓、事業計画策定や資金調達のサポートなど、様々な業務を行っています。

UMIは海外とのリレーション強化を図っており、海外のベンチャー企業への出資だけでなく、日本のベンチャー企業の海外進出に向けたサポートも行っています。ベンチャー単独では現地の情報を得るのに、多大な時間とコストがかかります。そこでUMIが持つネットワークを活用し、現地ニーズとベンチャーの技術・提供価値がマッチングするところで、ビジネスが進展するよう仲介役を担っています。海外はエリアごとに担当分けされていて、私は中東を担当しています。

UAEにおいては、経済産業省とアラブ首長国連邦(UAE)産業・先端技術省との間で締結された「日UAE先端技術調整スキーム(JU-CAT)」のコーディネーターをUMIが務めており、有望な技術をもつ日本のスタートアップをUAEへ紹介する役割を担っています。これまで、日本のスタートアップをUAEでの展示会出展や、現地企業との連携サポートなどを行っています。

中東諸国は石油以外の産業で国の発展を目指している段階で、様々な先端技術への関心が高く、オイルショックを契機に日本と良好な関係性を長期間維持している背景もあり、事業展開が行いやすい環境があります。一方で、アジア各国の進出により日本のプレゼンスが薄れてきているとの声や、投資に慎重だったり、商習慣の違いもあったりします。ちょうどここから技術導入などが始まるため、ベンチャーの技術が中東で実装できるよう、現地と連携して進めています。

これまで培った経験を多岐に渡る業務に活かす

LP企業にはそれぞれUMIの担当が付き日々対応しています。私の方では、LP企業から依頼やUMIからの提案で産まれた個別プロジェクトの実行を一部担当しています。例えば、事業戦略策定のためのマーケット調査であったり、新分野進出に向けて数十年後の見通しを調査したり、プロジェクトに応じてどのような情報やデータが必要かを考え、調査などを行っています。また、新規事業を形にしていく過程を体験できる研修プログラムとしてLP企業にご提供しています。その企業の歴史から、ビジョンや目指す方向性を踏まえ、アイデアをどう新規事業にしていくのか、その過程をワークショップ形式で行います。この研修によって実際に、LP企業の中で新規事業の議論や検討が進められることを目指しています。

UMIでは生産性向上のため、投資先のモニタリングやリスクチェック、レポート作成など、AIやシステムの活用による効率化を推進しています。投資業務を洗い出し、AI含めデジタル技術を活用して効率化できること、人手をかけるべきポイントと整理し、検証やテストを行っています。AI活用により効率化が進んだ業務もあり、AIの精度や機能向上と共に、さらなる効率化を図っていきたいと思います。

投資先のバリューアップ支援業務の中で、協業パートナー候補企業の工場を訪問したり、大手企業の経営層と面談機会があったり、様々な業種・職種の方と関われることは、とても貴重な経験です。UMIの業務は多岐に渡り、大変なことは多いですが、これまでのキャリアで培った経験や知識が生かせ、企業の成長や事業推進に貢献できるため、やりがいがあります。ベンチャーの新しい技術の実装により、社会がより良くなるよう取り組んでまいります。