投資先ベンチャー インタビュー

独自のアルファ化技術をもつ山形大発ベンチャーで
世界の食課題に挑む

株式会社アルファテック COO

曵地 知夏 氏

小さな技術の種を、社会に役立つ事業へと育てていきたい

食品会社で動物用のアミノ酸の研究開発に携わったのち、コンサルティング会社、MBA取得を経て2021年にアルファテックに入社しました。研究者時代、優れた研究や技術開発ができても、事業化までには長い時間を要することに「もったいない」とジレンマを感じていました。ならば自らが、技術の種を事業へと育てる、事業開発に直接携わり、社会の役に立ちたいという思いが強くありました。

アルファテックは山形大学の西岡教授が開発した「温度制御型粉砕技術」を基に設立された大学発のベンチャーです。米などの穀物にこの独自技術を応用することで、水を使わずに一瞬ででんぷんやセルロースをアルファ化(非晶化)することができ、この技術をAmorfast®と命名しています。この非晶化技術、Amorfastに可能性を感じ、事業開発に直接携われるため入社を決めました。

飼料効率を改善し、環境負荷軽減にも寄与できる「アルファ化技術」

現在、アルファテックは畜水産飼料と食品、バイオマス活用を軸に事業を進めており、私はCOOとして事業開発や顧客開拓を担当しています。まだ社員数名の小さな組織ですので、“自分ができることはできる限りやる”というスタンスで、商談はもちろん、販売予測やキャッシュフローの把握、さらに社内の経費精算からウェブサイトの更新まで業務範囲は幅広いです。アルファ化穀粉のレシピ開発や海外市場の開拓など、専門性が必要な分野については、外部の有識者やプロフェッショナルの方と連携しながら進めています。

私たちの技術、Amorfastでアルファ化したでんぷんは消化吸収性に優れており、飼料効率を向上できます。畜産業の課題である飼料効率の改善・生産サイクルの短縮化を実現するだけでなく、運搬時の負担も減るなど環境負荷軽減にも寄与できると考えています。

また、日本の社会課題に米の消費減があります。Amorfastによる米粉は、水を加えるだけで粘りが出て、小麦粉のように引き延ばしたり、丸めたりできます。この特性から米の利用の幅を広げ、消費拡大と自給率の向上にも貢献できると考えています。

2023年は量産化に向けて大量処理可能な実証機を導入しました。各種実証を行い、今後は飼料業界や農業法人等に向けた営業に注力します。将来的には海外市場への進出も視野に入れています。近年、中国や東南アジア各国、アフリカなど、人口増加に伴い飼料の需要が伸びており、アルファテックの技術の需要は高いと思います。

自身のワークスタイルをデザインできる環境

事業を大きくしながら社会の役に立つ、まさにやりたかった仕事に巡り会えたと感じています。初めてベンチャー企業に転職して、自分の仕事の成果がすぐに目に見えることに大きなやりがいを感じます。入社前は「ベンチャー」と聞くと、各人の業務負担が大きくハードワークなイメージがありました。でも、アルファテックには自分で仕事をデザインできる自由度高い環境があります。

社内は風通しが良く、お互いを信頼して各人に任せるカルチャーがあります。大きな裁量を持って働け、ワークスタイルもフレキシブルです。会社は、山形大学(山形県米沢市)とビジネス拠点の川崎ラボ(神奈川県川崎市)の2拠点があります。代表の駒井をはじめリモートワークが多いため、私は仕事と子育て、毎日の子どもの送り迎えも両立できています。

まさに事業がダイナミックに進んでいて、日々、様々な形で事業を検討しています。そんな変化に携われる会社だと思います。事業内容を理解いただける方で、スタートアップの経営にチャレンジしたい方にとっては活躍できる場がたくさんある会社です。もし足りないスキルがあっても業務を通して身につけられるので心配はありません。働き方の柔軟性も高いので、子育て中の方や介護などで毎日出社は難しいという方であっても、ぜひチャレンジしていただければと思います。