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2018.12.25
ユニバーサル マテリアルズ インキュベーター株式会社(以下「UMI」)(本社:東京都中央区、代表取締役月丘誠一)が管理運営を行うUMI1号投資事業有限責任組合(以下「UMIファンド」)は、JSR株式会社(本社:東京都港区、代表取締役小柴満信)が同グループの中で開発した技術を活用して、熱可塑性プラスチック成形における革新的オンリーワン技術である光成形技術の実用化を目指す新会社である、株式会社micro-AMS(以下「micro-AMS」)を設立し、2018年12月12日に事業を開始しました。
現在、熱可塑性プラスチックの成形は射出成形が主流となっています。射出成形は大量生産には適しているものの、高価且つ製造に時間がかかる金型が必要であることから、少量生産には向きません。この為、様々な製品開発サイクルが短くなり、製品が多様化していく中で、特にプラスチック部品の開発段階における製品試作や、小ロット生産の分野で課題を抱えています。また昨今、様々な製品でプラスチック部品が増えており、これに伴うサービスパーツとしての供給保証対応の為、金型を長期保管する必要があり、企業のコスト負担の増加につながっています。
micro-AMSの光成形技術(英語名:Photon Molding)は真空注型技術*1を応用した革新的な熱可塑性プラスチックの成形技術です。真空注型などで用いられるシリコーンゴム型に熱可塑性プラスチックを充填の上、マイクロ波や近赤外線などの電磁波を照射し、充填したプラスチックを溶解させることで成形をおこないます。光成形技術は金型が不要となる上、幅広い種類の熱可塑性プラスチックの成形が可能であることから、プラスチック製品開発における大幅なコストダウンと工期の短縮を図れます。加えて、光成形技術によって成形したプラスチック製品は、射出成形で見られるウェルドライン*2や、一般的なプラスチック3Dプリンタで見られるような積層界面*3もありません。さらに、シリコーンゴム型による成形はシボ加工面*4などに対して非常に高い表面形状再現性を生みます。このような特徴から、企業の製品開発やサービスパーツ対応におけるコスト削減が期待できるばかりでなく、様々な高付加価値なプラスチック製品の開発への用途の拡がりが期待されます。
micro-AMSは光成形技術を熟成させ、熱可塑性プラスチック成形分野における、デファクトスタンダートとなることを目指します。今後、光成形技術の工程標準化を推進し、自動車、エレクトロニクス、医療機器産業など様々な用途向けの開発をパートナー企業と共に進め、企業価値の最大化を図ってまいります。UMIはmicro-AMSに対して、社外取締役等の派遣、事業開発体制の強化等の経営サポートを通じて、画期的な技術の早期実用化を後押し、支援してまいります。
1* シリコーン型を用いてプラスチックを成形する既往技術。使用可能なプラスチックが限られる為、試作などの用途に限定される。
2* 金型内で溶融プラスチックの流れが合流して融着した部分に発生する細い線。
3* プラスチック3Dプリンタでは積層しながら成形していく為、積層の線が出てしまう。
4* 物理的にシワ模様(シボ)をつける表面加工の一種。プラスチック成形においては、成形品に模様を転写する加工を指す。